水原 秀策

2008年01月02日

メディア・スターは最後に笑う(水原 秀策)

 瀬川恭介は史上最年少でショパンコンクール優勝を果たした天才的なピアニスト。ある日恭介は罠にハメられ、殺人事件の第一容疑者となってしまう。伝説のピアニストによる殺人事件、しかも被害者は国民的人気の美少女ピアニストという、センセーショナルな話題は、マスコミの恰好のエサとなる。記者たちが、インパクト優先の記事作りに夢中になるなか、元女子アナウンサーの相沢奈緒は、真実を求めて奔走するが…。

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 メディア・スターは最後に笑う
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 身に覚えのない殺人事件の容疑者となった、主人公の天才ピアニスト・瀬川恭介。メディアによって『犯人』に仕立て上げられながらも、自分の潔白を晴らし、真犯人を見つけ出していく。
 本作、前作と同様に癖の無い文体とリーダビリティに満ちた展開に仕上がっている。何よりも主人公のキャラも立っていて、飽きずに一気に読める作品だった。そして、メディアの怖さを痛感させられる作品でもあった。
 難を云えば、ミステリーのインパクトの弱さが挙げられる。ラストでの謎解きのキレの鈍さが目立ったし、伏線や真相に至る手掛かり等が幾分弱い感じがした。とはいえ、エンターテイメントとして読めば楽しい作品に仕上がっている。
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2007年02月06日

黒と白の殺意(水原 秀策)

 椎名弓彦は「殺し屋」の異名を持つ、天才的なプロ囲碁棋士。ある日弓彦は、対局で訪れたホテルで、日本囲碁協会・大村理事の死体を発見する。ショック 股間と胸を刺されて絶命している彼のそばには彼の小学生の息子、啓太が呆然と立ち尽くしていた。
 容疑者は弓彦の弟・直人。IT関連の会社に勤めており、日本囲碁協会とビジネス上のつきあいがあった直人は、彼にリベートの増額を要求されたことが動機ではないかと疑われていた。その矢先、直人は大村の自宅に不法侵入した罪で拘留されてしまう。

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 黒と白の殺意
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 本書、弟・直人に掛けられた容疑を晴らすべく弓彦は、直人の会社の女性経営者・桐山千穂の協力を得て調査を開始する。その過程で日本囲碁協会の不正などを次々と発見して行き、事件を解決して行くというものです。

 随所に囲碁の対局や基礎知識が盛り込まれている楽しい展開。プロットもよく出来ていたし、主人公のキャラも立っていたので、飽きずに一気に読める作品でした。特にラストでの師匠との対決は見物でしたね~。また、囲碁界の現状や歴史が解るなど、良い勉強になりました。しかし、途中で犯人が解りかけるのは・・・少し減点ですね。

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