有栖川有栖

2009年09月23日

火村英生に捧ける犯罪/有栖川有栖

 京都で、30歳のエステティシャンが扼殺(やくさつ)された。ほどなくして、大阪府警に「これは火村英生に捧げる犯罪だ」という文面の挑戦状が届く。一方、作家の有栖川有栖のもとには「先生に盗作されたと言っている人物がいる」との怪電話が……。
 気鋭の犯罪社会学者・火村英生と、ワトソン役の作家・有栖川有栖が登場する人気シリーズ。表題作を含む短篇4本、そして携帯サイトに掲載された掌篇4本の計8本、本格ミステリーの旗手の精緻かつ洒脱な世界。

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 キャラも立っていてスラスラと読める短編集ではある。が、タイトル負けしている感が否めない。

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2009年2月11日 読破


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2009年08月24日

妃は船を沈める/有栖川 有栖

 所有者の願い事を3つだけ、かなえてくれる「猿の手」。“妃”と綽名される女と、彼女のまわりに集う男たち。危うく震える不穏な揺り篭に抱かれて、彼らの船はどこへ向かうのだろう。―何を願って眠るのだろう。
 臨床犯罪学者・火村英生が挑む、倫理と論理が奇妙にねじれた難事件。

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 恐怖小説の古典としてあまりに有名な『猿の手』。あの作品で語られているのは猿の右手で、じつは左手も実在していたとしたら。そして、その手が自分の手元にあったとしたら。想い人を我がものにしたい執着と、もてはやされながら虚飾に溺れていたい自意識と。かなう願いは、果たして誰のものなのか?
 わずか3年弱のあいだに、立て続けに二つの事件の当事者となった謎の女。犯罪社会学者・火村英生と作家・有栖川有栖が、縺れた事件の真相と、背後に浮かび上がる人間のどうしようもない性に迫る。

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2009年1月31日 読破


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2007年03月18日

乱鴉の島(有栖川有栖)

 友人の作家・有栖川有栖と休養に出かけた臨床犯罪学者の火村英生は、手違いから目的地とは違う島に連れて来られてしまう。通称・烏島と呼ばれるそこは、その名の通り、数多の烏が乱舞する絶海の孤島だった。
 俗世との接触を絶って隠遁する作家。謎のIT長者をはじめ、次々と集まり来る人々。癖のある住人。奇怪な殺人事件。精緻なロジックの導き出す、エレガントかつアクロバティックな結末。

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  乱鴉の島
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 本書、烏の孤島を舞台に崇高なる詩人を慕い集まった人々。そこに場違いの火村有栖川が訪問し、殺人事件が発生する。そして、捜査を開始する火村や有栖川に対して、彼らはこの島で一体何を行おうとしているのか口を閉ざし続けるが……、火村の推察により暴かれ、人間のエゴや醜さが描き出された作品でした。

 火村シリーズ4年ぶりの新刊だそうで、よく出来たミステリーに仕上がっていました。消去法から真犯人を見つける推理のプロセスやロジックは本格的で良かったです。しかし、事件発生が中盤あたりから起きる事と、驚愕や感動する場面がなかったのが残念です。悲しい

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