真保 裕一

2007年10月27日

追伸(真保 裕一)

 単身でギリシャに赴任したに、一方的に離婚を切り出した妻の奈美子。納得できない悟に対し、奈美子は祖父母の間で交わされた手紙のコピーを送る。約50年前、祖母は殺人の容疑で逮捕されていた。頑なな態度を貫く祖母と、無実を信じ奔走する祖父。ふたりの手紙には、誰も知ることのない真実が語られていた…。ショック

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  追伸
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 離婚に直面した夫婦(悟と奈美子)の手紙でのやり取りが進んでいく中で、50年前の奈美子の祖父と祖母の手紙を取り出しお互いの真情を吐露していく。前作の『最愛』で “罪を犯した人を受け止められるのか” に続き本書では、 “裏切った人を受け止められるのか” という愛のかたちを解き明かす作品。
 終始手紙のやり取りだけというプロットであるため語り手がなく、描写は無論のこと感情移入すらしづらいものになっていた。また、時代の違う男女の手紙なのに文体が似すぎているというのは如何なものか?そして、ミステリー的な要素も欠けていた。何よりも男女の関係というものは、もっとドロドロしているもので本書のように綺麗に纏め過ぎていると面白味がない。

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2007年06月22日

最愛(真保 裕一)

 小児科医の押村悟郎の携帯電話が鳴った。警視庁の刑事からだった。18年間会っていない姉が、意識不明で救急病院に搬送されたという。ショック 重傷の火傷、頭部にうけた銃創。しかもそれは、伊吹という男と婚姻届を出した翌日の出来事だった。姉のアパートで見つけた不審な預金通帳、姿を現さない新婚の夫。噛み合わない事実、逃げる男と追う男。「姉さん、あなたはいったい何をしていたんだ…」愛のかたちがここにある―。

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  最愛
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 本書、幼い頃に両親を事故で亡くし、お互い違う親戚に引き取られた姉と弟。音信不通だった姉が不慮の事故に遭い意識不明の重体であるとの知らせを受ける主人公の弟。姉の過去を調べていく過程で段々と明らかになるその姿に愛おしさで胸が締め付けられる。交わりとすれ違いを繰り返す登場人物それぞれの想いが、“最愛”という言葉を何度も響かせる。深く惹き込まれ、忘れがたい余韻を残す。
 この作品ミステリーの範疇ではないが、結末に繋がる伏線の張り方はミステリー的で最後まで一気に読めてしまう。こういうプロットは著者の意図したことだろう。なによりも著者が問いたかったことは、“罪を犯した人を受け止められる”かはてなまた、自分も罪を犯した人であれば“傷をなめ合うような愛し方ができる“これが愛と言えるのかはてなそして、ラスト・・・う~ん、考えさせられる 本 だった。

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セブンアンドワイ



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