高田 崇史

2008年05月25日

白蛇の洗礼(高田 崇史)

 濃茶の席で、裏千家教授、大澤信郎の次男・祐二が毒殺された。事件とはまったく無関係の編集者・西田は、会社の業務命令を受けて調査を始める。やがて、容疑者とされる美女・神凪百合に淡い思いを抱いた彼は、彼女への疑いを晴らすため、事件解明に向けて奮闘する。しかし、その後も続発する毒殺事件を前になす術もなく、隣室に住む、自称“毒草師”の御名形史紋に相談を持ちかけた。数日後、関係者一同の前に颯爽と現れた御名形は事件の謎を看破し、大澤家が隠匿し続けた秘密を暴き出したびっくり「千利休=キリシタン」説が呼び覚ます、殺人の系譜―。驕慢尊大な男・御名形史紋の推理が冴える。

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  白蛇の洗礼
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 茶席で謎の毒物による連続殺人事件が起きる。これらの事件を医療関係雑誌の編集者・西田真規と、その怪しい隣人・御名形史紋(みなかたしもん)が、解決していくというシリーズ第2弾。語り手は、前回と同じく西田真規。このキャラ魅力がないのが非常に残念ではあるのが、いい雰囲気を醸し出している。御名形史紋はというと、相変わらずの奇人変人ぶりは健在。
 本書、事件と平行して語られる歴史的謎、”千利休=キリシタン”説。この千利休についての考察のくだりが重たい。怒り 主人公は千利休だという位語っていて、事件の謎と千利休の謎との絡みが薄かったことが起因している。また、御名形史紋の出番が非常に少なかったことが残念だ。悲しい 物語としては、前作・毒草師の方が面白かった。次作では、ミステリーとして楽しめる作品にしてもらいたい。

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2007年06月24日

毒草師(高田 崇史)

 鬼田山家の先々代当主・俊春が撲殺した、一つ目の子山羊。以来、この家では「一つ目の鬼を見た」と言い残し、内側から鍵をかけて離れに閉じ籠る人間が相次ぐ。そして誰もが、そこから忽然と姿を消してしまうのだ。困った
密室からの失踪事件として警察が動き始めたある夜、鬼田山家の長男・柊也が、自室で何者かに毒殺される。悲しい しかも、その場にはダイイング・メッセージが残されていた。捜査が暗礁に乗り上げた時、関係者全員の前に、突然、御名形史紋という“毒草師”を名乗る男が現れた。彼は一連の事件を『伊勢物語』になぞらえ、事件はほぼ100%解決したと言い放つが…。忌まわしき家伝の秘密が暴かれた時、新たな殺人が始まる―。

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  毒草師
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 本書、東京の旧家で連続失踪と謎の毒物による殺人事件が起きる。これらの事件を医療関係雑誌の編集者・西田真規と、その怪しい隣人・御名形史紋(みなかたしもん)が“伊勢物語”の『鬼一口』の話をなぞり解決していくというもの。
 “一つ目の鬼”にまつわる話を紐解くため、伊勢物語から派生して歌人・在原業平(ありわらのなりひろ)や、ギリシャ神話の『キュクロプス』が出てきたりしてちょっと重たかった。寝る しかし、著者の解釈によるものなのかは解らないが、御名形が業平の歌に込められた意外な真実の語りには興味をそそられた。何より自らを”毒草師”と名乗る御名形のキャラが立っていて良かった。また、ラストでの毒草の知識を交えながらの謎解きには楽しませて貰えた。

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